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Press release

レポート「GX-ETSとは?」公表

 

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Climate Integrateは本日、新レポート「GX-ETSとは?」を公表しました。 

本レポートは、2026年4月から、カーボンプライシングの手法の一つである排出量取引制度(Emissions Trading System)が日本で本格始動することを見据え、日本版の排出量取引制度(GX-ETS)の仕組みを概説し、炭素価格の見通しなどについて分析しています。  

【本レポートのポイント】 

第2フェーズの特徴 
  • 自主的な第1フェーズを経て、2026年度から対象企業に参加義務 
  • 日本の温室効果ガス排出量の約6割、300–400社をカバーするカーボンニュートラル実現への中核的な政策に 
  • GX-ETS対象企業全体の削減目標がなく、ボトムアップ方式であるため、国のGHG削減目標達成への貢献度は予見できない 
  • 上位効率のベンチマーク基準に基づいて、企業には排出枠が無償で割り当てられる。業種ごとに補正と勘案事項が考慮されるため、2030年度までの削減は小さくとどまる可能性 
  • 無償割当、各種の補正と配慮、低い上下限価格、10%の外部クレジット利用などにより、削減インセンティブが弱まる可能性 
第3フェーズの特徴 
  • 詳細は未定だが、2033年度から発電事業者の排出枠が有償となり、電力部門のCO₂排出にコストがかかる。他の業種は引き続き無償 
  • 有償割当の収入(特定事業者負担金)は、化石燃料賦課金とあわせ、政府が発行するGX経済移行債の償還に充当される 
  • 負担金と賦課金の毎年の徴収額は、石油石炭税と再エネ賦課金の減収分の範囲内が上限とされ、負担を増やさない考え方 
  • そのため、炭素価格は2035年度頃まで低くとどまり、初期にはGX経済移行債の償還期限に返済資金が不足する可能性 

Climate Integrateでは、脱炭素を牽引する気候政策として重要な本制度について、特に以下の2点に注目しています。 

  • 第2フェーズにおける削減効果 
  • GX経済移行債の償還との関係における炭素価格

レポートでは、これらを分析し、日本の特徴を明らかにしています。 

【執筆者コメント】 

代表理事の平田仁子は、「日本でもようやく、企業のCO₂削減が自主的な仕組みから、政府が排出枠を割り当てる仕組みに移行します。脱炭素化に向けた重要なアプローチが取られることに期待します」とし、「一方、GX-ETSが、2030年、2035年の政府の温室効果ガス排出削減目標(NDC)に向けて企業の着実な排出削減をもたらすかは、対象全体の削減目標がなく、業界ごとへの配慮が多いため、見通せません。効果を測定する上でも、透明性の高い運用が重要です」と述べています。 

分析に携わったコーポレート・アナリストの真辺佑佳は「政府のベンチマークは、各所に企業への配慮があります。発電部門については、当面の効率水準は、石炭やLNGなどの燃料ごとに設けられて緩やかであり、燃料転換を促しにくくなっています。GX-ETSの義務の下の2030年の削減を試算したところ、電力会社の自社目標よりも緩く、排出を現在より増やすことができる可能性があるという結果が得られました。この結果は、GX-ETSをNDCと整合させていくことが重要であることを示唆してます」と指摘しています。 

さらに平田は、「政府が排出枠を割り当て、企業の削減を促すことは、低効率で競争力のない企業の対策強化を奨励するものであり、企業にとってこの制度は、脱炭素化時代に強い企業として成長する機会になります」と述べ、企業の積極的な対応への期待を示しています。