気温40度の日常を生きる

気候変動。それは、身近にある恐怖
夏の猛暑や酷暑、頻繁に発生する線状降水帯。そんな異常気象被害のニュースが、連日のように飛び込んできます。豪雨の怖い経験、暑さによる体調不良、浸水による家や家財道具、車への被害、育たなかった作物など、ご自身の体験と重なることもあるかもしれません。被害は、生活を狂わせ、健康を害し、物価高にもつながっています。国内だけではありません。ネパールでは、山岳氷河が溶け、すさまじい土石流で下流の町が飲み込まれてしまいました。フランス・スペインなど欧州の猛暑でも、たくさんの方が亡くなりました。
これらは、気候変動、すなわち地球温暖化と関係しています。気象庁によれば、極端な気象現象は、人間活動が原因の地球温暖化がなければあり得ませんでした。単なる自然現象ではないのです。
気温40度に生きることが日常になる世界。
"自然のことだから仕方ない” と受け入れる前に、身近に迫る恐怖から、気候変動について考えてみませんか。
あたたまる地球。これから、もっと
地球温暖化が進んでいることは、データで裏付けられています。世界中の科学者たちと政府による報告書(気候変動に関する政府間パネル)では、人類が引き起こした問題で起こっているという因果関係は、“疑う余地がない”、としています。
気候変動が引き金となって、さまざまな極端な気象現象が引き起こされています。データから、日本の各地域の気温上昇と、猛暑や豪雨の推移を重ねて、その変化を見ると、気温上昇をなぞらえるように、猛暑や豪雨が増えていることがわかります。


産業革命以降、1850年ごろから、人類は、化石燃料を大量に利用し始めました。その結果、二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガスをたくさん排出し続けています。それが原因で、今日までに地球の平均気温は1.5℃近くまで上昇しました。このままでは、2100年までに3℃近くまで上昇するかもしれません。
1年間の地球の平均気温は、毎日のお天気とは違います。たかが1.5℃、とはいえ、この温暖化は、過去2000年で前例がなく、安定した気候を大きく狂わせ、さまざまな異変を引き起こす大きな変化です。もし3℃も上がってしまったら、もはや回復することができない壊滅的な環境破壊をもたらします。今、手を打たないと、取り返しのつかない危機が待ち受けています。
打てる手はある ― We can do it
ただ、絶望するばかりで、手がないわけではありません。気候変動は、人間が引き起こした問題ですから、解決策も人間の手の中にあります。これから、持続可能な社会を築いていく選択をすれば、気温上昇を遅らせ、影響を小さくすることができます。
そのためには、今を生きる私たちが、目を背けず、危機を冷静に受け止め、それぞれの立場や方法でできることを探り、早く、大胆に取り組んでいくことが大切です。
その取り組みは、ガマンや負担を強いることではありません。むしろその逆です。
なぜなら、自然や生き物、食、仕事、文化やスポーツを守り、あらゆる世代の人がどこにいても平和に生きていくことができる社会を築いていく営みだからです。豊かさや幸せを育んでいくポジティブなものです。
その取り組みは、化石燃料を利用してきた仕組みを、再生可能エネルギーを中心に転換し、その変化を通じて、私たちを取り巻く世界との関係や、仕事の在り方、ものごとの決め方、そして人々の価値観などについても、時代に合わせて変えていくことです。
打てる手はたくさんあります。
そして、誰もが、その「解決の一人」になることができます。

執筆:平田仁子
イラスト:大塚砂織
